こんな風にひどく蒸し暑い話

一人飯のおかずになるブログ「こんな風にひどく蒸し暑い話」を毎日更新。2週間で10万PVを突破したかった。「ミスチルを聴けば大体の病は治る」「どうせ死ぬならとち狂え」が持論。友達が少ない。ドM界の貴公子というドブみたいな自己PRで営業として就職後、転職、半ニートへ。

【勝手に解釈】Mr.Childrenの新曲「SINGLES」がもはやダブルスな上に主人公の葛藤を描いた名曲である件について

どうも。ミスターチル奴隷です。

 

いやね、最近の話題は何と言ってもミスチルの新アルバム「重力と呼吸」なわけですが、こりゃとんでもねぇアルバムですわ。控えめに言って。

 

たぶん、これまでのミスチルが好きな人にとっては、ちょっと違和感を覚えるというか、「あれ?カルビーのポテチ買ったと思ったら、中に入っているの湖池屋のポテチじゃん!しかもうすしおかと思ったら完全にのりしおな上に四角形のコンソメの素とポリンキーまで入ってんじゃん!」ってなるような、そんなアルバムですよ。

 

なんだろう、わかりやすく言うと、過去最大にロック色全開。というか、良い意味で好き勝手やっている感が凄い。現代的で挑戦的な匂いもプンプンする。とにかくカッコいい。

 

いや、これまでもロックやっていたんでしょうけど、やっぱりロックというよりはポップ感の強さが特徴だったと思うんですよ。なんだかんだ。

 

要は、REFLECTIONであったような、足音とか、Starting Overとか、幻聴とかMelodyのような曲の束をイメージして聴くとあれ?ってなるぞと。多くのリスナーが描いていたイメージのMr.ChildrenはREFLECTIONで一回星になりましたよと。

 

個人的に、ミスチルって他のどのアーティストよりも良い意味で普遍的で、おはようからおやすみまでドローン型の監視カメラでもつけているんじゃないかって思うくらい我々の日常のひとときを描写したような曲が200曲以上ある、そんな凄さを持ったLIONならぬモンスターバンドだと思うんですよ。

 

要は強烈なほど丁寧に普遍性を生み出して、誰もが主人公になれたり、長い人生のどこかで必ず訪れる、あらゆる種類の感情を引き起こさせるような出来事を歌詞にシンクロさせたり、そんな凄さがこれまでのミスチルにはあったと思うんですよ。

 

で、今回の重力と呼吸。

正直ね、まだ全曲ガッツリ聴き込めていないんですよ。なぜか。

 

「SINGLES」が良すぎるから。

 

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そう、最初はね、ハゲタカのタイアップソングということで1番~サビまで聴いていて、「あれ?何かfantasyっぽい楽曲やないか。カッコいいけど、まぁ、普通にカッコいい曲って感じなのかな~」とか思っていたんだけど、とんでもない誤解でしたわ。死ぬほどカッコいい。そしてたぶん意志があるようで本当は決めきれていない葛藤の歌なんじゃないかって。

 

まず1番からサビまで。ここはね、普通にカッコいいんですよ。普通にカッコいい。存じ上げております。そして2番に入るわけなんだけど、まず歌詞がカッコいいのよ。

 

<2番~サビ部分>

どんな音楽も

痛快と話題の映画も

君の笑顔には叶わないってわかった

ねぇ君はまだあの虹を覚えてる?

 

誰かの為に生きるって誇りを

僕に教えてくれたのは

君だけと言い切っていい

 

守るべきものの数だけ

人は弱くなるんなら

今の僕はあの日より

きっと強くなったろう

それぞれが思う幸せ

君が君であるため

oh you'll have to go

 

そう、これが今まで僕らが知っていたミスチル

これぞという感じのフレーズ!…と思ったら2番のサビから何か急に追っかけサウンド(語彙力w)入ってきた何だこれゾワッとしたけどかっけええええええええもはやシングルスじゃなくて物理的にもゴリゴリのダブルスじゃねぇかこれえええええええ!!!!!!

 

そして2番のサビが終わると同時に、我々の予想の斜め上を行く間奏が入ったことを今でも鮮明に覚えています。Twitterで誰かがヒゲダンスとか言っていたけど、全くの別物だよこんちくしょうめ。ここらへんの展開の仕方って今まであまりなかったんじゃない?一瞬I'LL BEの間奏を想起したけど、また話が違うでしょう。こんなトーンになる予告なんてなかったでしょうこっちは。

 

で、そのあとのCメロ的部分。これも痺れましたね。

 

<Cメロ的部分>

誰もが胸の中で

寂しさっていう名の歌を歌ってる

少し もの悲しくて

人恋しくなるメロディー

 

歌っているわ。アラサーの深淵に入るにつれて常々歌っているわ。寂しさっていう名の歌を誰かが拾ってくれないかななんて思いながら奏でているわ。なんでわかるの。本当に…

 

そんで、最後の大サビ部分ね。これはなるほどなぁと思った。

正直、1番のサビが「悲しいのは今だけ」だったから、2番のサビは「苦しいのは今だけ」「侘しいのは今だけ」だと思っていたのよ。揃えてくるかなと。

 

そしたら「守るべきものの数だけ~」で来たわけだ。で、じゃあ大サビに何が来るのかと思ったら、上のどちらでもなく、「楽しいのは今だけ」なわけだ。ここに自分の作詞能力の限界を感じましたよ。僕は。なるほど。「楽しい」という言葉をここまで淡く切なく表現するのかミスチルは。

 

<ラストサビ部分>

楽しいのは今だけ

自分にそう言い聞かせ

少し冷めた感じで

生きる知恵もついたよ

それぞれが思う幸せ

僕が僕であるため

oh I have to go

oh I have to go

oh you'll have to go

oh we'll have to go

 

「少し冷めた感じで 生きる知恵もついたよ」って、決して喜ばしいことじゃないんですよね。ここらへんの偶発的な表現の巧みさ半端ないと思う。望んでいない感。

 

そして最後の「will」の4連弾。これはもはや中学英語の教科書「NEW HORIZON」あたりに載せるべきだと思いますね。

 

もはや英語全然わからないんだけど、willって確か「意志のwill」とか「推量のwill」みたいな用法がなかったっけ?

 

これ、的はずれな解釈だったらアレなんだけど、何か主人公の気持ちが確信に変わっていくまでのプロセスを表しているような気がするんだよ。

 

まず、主語が自分の時には「I have to go」という現在形なんだけど、たぶん最初は道義的に進まなきゃいけないっていう意識がある主人公がいて。

 

で、2番の「you'll have to go」は、相手に対しての思いで。ほぼ確信に近いんだけど、確信しきれていないというか。それ以外の選択肢が見つかっていないというか。命令のwillまではいかないというか。

 

そんで、最後の「I have to go」からの4連弾。特に最後の「we'll have to go」。これは、道義的に自分自身が進まねばならないという意識がある中でも、まだ心のどこかで1%の迷いがあって、でも最後の最後はお互いの幸せのために、お互いが思い描く道を進むことが正解なんだ、そうしなければならないんだという意志にも近いような締めくくりなんじゃないかと、そう思うのよ。

 

てかこれ、続いているのか離れているのか、正直なところはっきりとはわからないし、各フレーズからどっちとも解釈できるよね。単なる未来形の言い回しなのかもしれないけど、なんかこのあたりの揺れ幅が主人公の葛藤を描いているんじゃないかって思わされるし、桜井さんの歌い方からも、最後はかなり緩急つけているから、矛盾と葛藤の合間でもがいている主人公の叫びにも思えてくる。MV全編見たら何かしらわかるのかな。

 

youtu.be

 

本当は特に意味があるわけではないのかもしれない。でも、たった数分の曲でこんな解釈まがいのこともできる。桜井さんは最近何かのインタビューで、時代の変化に伴い、リスナーの想像力をあまり信用しなくなったという旨のことを言っていた。そして今回のアルバムにはとりわけ自我を出したとも。それでも、やっぱり、一リスナーとしては聴き手に与える影響力と想像力の強さが、Mr.Childrenの良さそのものなんだと思う。新アルバム「重力と呼吸」の残りの曲も、きっとこれまでのミスチルの良さを継ぎながらも、どこか斬新で新しいサウンドを追求した作品であるに違いない。それだけは確かだ。

 

 

 

 

 

そんなことを思いながら、先週の金曜に放り投げた大量の仕事を横目に、泣きながら社用パソコンを起動させるSINGLE(独身)の自分が鏡に虚しく映っていた。